特定建築物定期調査

特定建築物定期調査とは

  建築基準法第12条第1項の規定により、政令及び特定行政庁が指定する特定建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者。)は、定期的に *「調査資格者」(1・2級建築士 又は特定建築物調査員)により、建築物を調査し、その結果を特定行政庁に報告しなければならないことになっています。

なぜ必要か

  劇場、百貨店、ホテル、病院、物販店、共同住宅、事務所など多くの人々が利用する建築物(このような建築物を「特定建築物」といいます。)は、ひとたび火災などが発生した場合、大きな災害につながります。このため、建築物には防火区画の適切な設定、避難階段、避難器具の整備、 前面空地の確保など多くの安全対策が必要とされています。   しかし、これらの防災設備は、日頃の維持管理を怠ると有事の際に本来の機能を発揮できません。このようなことがないよう、調査を行い、保全に努めなければなりません。   また、建築物の躯体、外部設置機器、塀などの劣化状況を把握し、事故等を未然に防止する他、建物を末永く良好な状態に保てる様に努めなければなりません。   そのため、建築基準法では、定期的に専門の技術者が調査を行い 、特定行政庁に報告することが義務づけられています。これが“定期調査報告制度”です。

特定行政庁って?

建築確認等を行っている行政庁の長をいい、都知事、23区長、八王子市長、町田市長、府中市長、調布市長、三鷹市長、武蔵野市長、日野市長、立川市長 、国分寺市長、西東京市長をいいます。なお、上記以外の多摩地域においては、多摩建築指導事務所長です。

どんな調査をするの?

 調査の項目は大きく分類すると、以下の6項目になります。
 調査は、各項目共通で建築物の現況と法規関係は現行法規等に基づいての調査となります。

敷地及び地盤 地盤・敷地・塀・擁壁等及び敷地内の通路等の「劣化及び損傷の状況」と「維持保全の状況」調査
建築物の外部 基礎・土台・外壁等の「劣化及び損傷の状況」調査
屋上及び屋根 屋上面・屋上周り・屋根等の「劣化及び損傷の状況」調査
建築物の内部 防火区画・常閉防火扉等・壁・床・天井等の「劣化及び損傷の状況」と「維持保全の状況」調査
避難施設等 廊下・出入口等・避難上有効なバルコニー・階段・排煙設備等・非常用進入口等の「劣化及び損傷の状況」と「維持保全の状況」調査
そ の 他 地下街等・免震装置等・避雷設備・煙突等の「劣化及び損傷の状況」と「維持保全の状況」調査

日頃の維持管理のポイント

敷地と建築物自体は安全に確保されていますか?

・ブロック塀等に傾きやひび割れは見られませんか?
・消火活動や避難に有効なスペースは確保されていますか?
・建築物の柱や壁などに亀裂や腐食は見られませんか?
外壁等は、年数が経つと老朽化し、ひび割れや浮き上がり、腐食等が発生します。そのまま放置すると外壁や屋外設置物等の落下により思わぬ事故につながる場合があります。日頃から点検等を実施し異常が認められたときは早急に補修・改修をしましょう。

建築物内部は安全に維持・管理されていますか?

・火災の拡大防止に必要な防火区画・竪穴区画等の区画方法は適切に維持されていますか?
・常閉防火扉等は規定に合ったものになっていますか?または、ひずみや変形は見られませんか?
・内装材料・仕上げ方法は規定に合ったものになっていますか?

災害の時 安全に避難ができますか?

・廊下や階段・避難バルコニー等に物が置かれたりしていませんか?
・常閉防火扉等の周りに物が置かれたりしていませんか?
・避難器具や非常口・進入口等は適切に確保されていますか?

廊下、階段、避難バルコニー等、常閉防火扉等のまわりに物を置いたりすると、火災が発生した時など、いざというときに避難の妨げになったり、火災による被害を大きくする原因となります。日頃から注意するようにしましょう。

既存不適格建築物とは?

建築物を建てた当時は適法でも、法令等の改正に伴い現行法に適合しない建築物を「既存不適格建築物」といいます。これは、そのまま建物を使用する場合は問題ありませんが、増築・改築等をした際、その部分を現行法規に適合するように改善しなければならない場合がありますので、事前にそのことを把握しておきましょう

定期報告の仕組み

東京都の場合

定期報告対象建築物及び報告時期一覧

平成31年(2019年)4月現在

  用    途 規模 又は 階  
※いずれかに該当するもの
用途
コード
報告時期
















劇場、映画館又は演芸場 ・地階 若しくは
 F ≧ 3階
・A ≧ 200㎡
・主階が1階にないもので
A > 100㎡
11 毎年の11月1日から
翌年の1月31日まで
  
(毎 年 報 告)
観覧場(屋外観覧席のものを除く)、公会堂
又は集会場
・地階 若しくは
 F ≧ 3階
・A ≧ 200㎡
(平家建て、かつ、客席及び
集会室の床面積の合計が
400㎡未満の集会場を除く。)
12
旅館又はホテル F ≧ 3階 かつ A > 2000㎡ 13
百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、
場外車券売場又は物品販売業を営む店舗
F ≧ 3階 かつ A > 3000㎡ 14
地下街 A > 1500㎡ 15
児童福祉施設等(注意4に掲げるものを除く。) ・F ≧ 3階
・A > 300㎡
(平家建て、かつ、床面積の合計が500㎡未満のものを除く。)
21 平成31年(2019年)
の5月1日から
10月31日まで

(3年ごとの報告)
病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、
児童福祉施設等(注意4に掲げるものに限る。)
・地階 若しくは F ≧ 3階
・A ≧ 300㎡
(平家建て、かつ、床面積の合計が500㎡未満のものを除く。)
旅館又はホテル (用途コード13のものを除く。) 22
学校、学校に附属する体育館 ・F ≧ 3階
・A > 2000㎡
23
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、
スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場、体育館
(いずれも学校に附属するものを除く。)
・F ≧ 3階
・A ≧ 2000㎡
24
下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途とこの表(用途コード 34を除く。)
に掲げられている 用途の複合建築物
F ≧ 5階 かつ A > 1000㎡ 28
百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場
又は物品販売業を営む店舗(用途コード14のものを除く。)
・地階 若しくは F ≧ 3階
・A ≧ 500㎡
31 2020年の5月1日
から10月31日まで

(3年ごとの報告)
展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、
ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店又は飲食店
32
複合用途建築物 (用途コード28及び34のものを除く。) ・F ≧ 3階
・A > 500㎡
33
事務所その他これに類するもの A > 1000㎡
(5階建て以上、かつ、延べ面積 が2000㎡を超える建築物のうち、F ≧3階のものに限る。)
34
下宿、共同住宅、寄宿舎
(注意4に掲げるものを除く。)
F ≧5階 かつ A > 1000㎡ 40 2021年の5月1日
から10月31日まで
(3年ごとの報告)
高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅又は寄宿舎
(注意4に掲げるものに限る。)
・地階 若しくは F ≧ 3階
・A ≧ 300㎡(2階部分)
41

(注意)

  • 1 F ≧3階、F ≧5階、地階若しくは F ≧3階とは、それぞれ3階以上の階、5階以上の階、地階若しくは3階以上の階で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるものをいいます。
  • 2 Aは、その用途に供する部分の床面積の合計をいいます。
  • 3 共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く。)の住戸内は、特定建築物の定期調査及び防火設備の定期検査の報告対象から除かれます。
  • 4 新築の建築物は、検査済証の交付を受けた直後の時期については報告する必要はありません。
  • 5 用途・規模等、初回免除の考え方等については、東京都都市整備局ホームページを併せて御覧ください。
    (http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/chousa-houkoku/index.html)

*防火設備定期検査報告については、 防火設備定期検査報告 のページをご覧ください。

料金

  マンション・共同住宅 事務所・福祉施設 ホテル・旅館・店舗
~500㎡ 35,000円 45,000円 55,000円
500~1,000㎡ 45,000円 60,000円 70,000円
1,000~2,000㎡ 60,000円 70,000円 80,000円
2,000~3,000㎡ 70,000円 80,000円 95,000円
3,000~5,000㎡ 80,000円 110,000円 125,000円
5,000㎡~ 別途お見積り

注意事項・見積り条件

  • 上記金額には消費税が別途掛かります。
  • 上記の金額は、調査費用、書類の作成費用、報告書提出費用が含まれております。
  • 調査および検査は平日昼間の実施を想定しています。早朝、夜間作業の場合は別途費用が発生致します。
  • 特定行政庁が指定する機関への事務手数料は含んでおりません。
  • 調査・検査に必要な図面、各種資料等がない場合、別途費用が発生致します。
  • 建物が遠方の場合は別途交通費などが発生する場合がございます。
  • 外壁全面打診調査もしくは赤外線診断、アスベスト分析調査などが必要な場合は別途御見積りをさせて頂きます。
  • 是正事項等の改修費用は含まれません。
  • 上記金額は参考金額です。正確なお見積りはお打ち合わせ、資料等を拝見した上で作成させて頂きます。

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